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2018.02.02
イオン飲料に気をつけて

 マスコミなどから得た情報で、市販の

イオン飲料が体に良いと考えがちです。

汗をかいた時や入浴後、のどが渇いた

時にイオン飲料を「体にいいから」と

水代わりに与えることもあるのでは

ないでしょうか。また、下痢や嘔吐で

小児科を受診した時に、軽度の症状の

場合は市販のイオン飲料を勧められる

こともあります。

   しかし、これらの症状が改善した後は、

イオン飲料を飲む必要がないという指導

を受ける機会は少ないのです。子どもも

その味を忘れず、欲しがったりもします

ので、習慣化することがあります。

    市販のイオン飲料は、医療用の経口

輸液よりも糖分が高く、甘味が強く、

習慣化する傾向があります。その上、

PHが3.6から4.6と低く、酸性です。歯の

エナメル質が溶けるのはPH5.4以下です

ので、脱灰といってカルシウムやリンが

溶け出します。

   従って、イオン飲料が口の中に長く残る

状態が続くと、虫歯の原因となります。

また、大量に与えると肥満の原因となっ

たり、食欲不振などの全身的な悪影響が

出る恐れがあります。

    乳幼児では極端に汗をかいた時以外は

普通の水を与え、下痢や嘔吐でイオン

飲料を与えた時は症状がおさまった後は

中止しましょう。寝る前や寝ながら哺乳

瓶で、飲ませたりしないようにしましょう。

               大阪大学名誉教授 祖父江 鎮雄

                 (2004年4月8日 読売新聞 掲載)